初心者でも出来る!簡単・らくらく作曲講座

誰でも出来る作曲法を解説。楽しいクラシックの聴き方や、作曲家のウラ話も。

世界一わかりやすい音楽と美術と宗教の関係

実は音楽と美術と宗教って深ーい関係があるんです!知ってました?なんか難しそうって思うかもしれませんが、一度わかると歴史が見えてきてとてもたのしいですよ!

「古典派」と宗教

17世紀から18世紀、古典派と言われる音楽が一般的でした。いわゆるバッハ、モーツァルトといった人たちの音楽ですね。教科書に出てくるような荘厳で美しい音楽です。彼らが目指した音楽とは一体どのようなものだったのでしょうか?

 それは今の私たちとは全く考え方からして違います。今の私たちは芸術とは自由で好きに自分の気持ちを表現する方法、ととらえていますよね?しかしこのころは違いました。芸術とはすなわち、調和・均整が取られたものでなければならなかったのです。リズムや様式もそこまで自由ではなく調和に満ちたものだったのです。

 絵画の世界もそうでした。背後にあったのは調和・均整であり、自由な表現は許されませんでした。描かれたのは主に聖書の物語の一コマ、しかもそれをリアルに描くことが追及されました。

 しかし音楽と美術、違う分野なのになぜ同じような考え方のもとにあったのでしょうか?それは当時の宗教背景と深い関係があります。当時、世界を牛耳っていたのはカトリック教会であり、芸術を掌握していたのもカトリック教会でした。実際バッハは教会に務める公務員でしたし、教会は教会に飾る絵を画家に発注していたのです。とうぜんながら音楽も美術も教会の影響下にありました。キリスト教の考え方はシンプルです。善と悪の違いをはっきりと定め、神こそが唯一最高権威者です。そのため芸術においても調和・均整が求められました。そうでないものもあったでしょうが、教会から異端とされて歴史に残ることはなかったのでしょうね。音楽も美術も一つの理想に一心に向むかってそれぞれの作品を歴史に残してゆきました。

 正しいものはただ一つ、という考えから音楽・美術も「ただ一つの美しさの基準」を追求するよう要求されたのでしょう。

キリスト教の分裂とロマン派

 しかしカトリック教会のやり方に不満を持った多くの人が革命を起こします。ルター、カルヴァンといった人の宗教改革は有名です。彼らはカトリック教会が全てを牛耳る状況を認めず、分派し後にプロテスタント教会となるものを作ります。カトリックの影響力が弱まるにつれ本来異教のものであったギリシャ神話や種々の伝説といったものが市民権を得るようになってきます。

 とうぜんながら音楽もその影響を受けました。シューベルトショパンチャイコフスキーといった現代でも人気のある数々の作曲家を生み出したのもこの時代です。音楽はより一層感情面を表現することが重視され、リズムや和音なども豊富なものとなってゆきました。有名なオペラが沢山生まれたのもこの時代であり、神話をモチーフにしたものもたくさんあります。カトリック教会の影響力が強かった世の中ではなしえなかった自由な表現が沢山生まれてゆきました。

 絵画の世界はというとこちらもギリシャ神話をモチーフにしたものや、恋愛や民族や庶民の生活風景などが題材として好まれるようになりました。その反動として新古典主義という流れも有力でしたが、全体としては主観的・情熱的なロマン主義が世界の主流となってゆきます。

 

印象派絵画が音楽に影響を与える

 その後、印象派と呼ばれる画家たちが台頭します。モネ、ドガルノワールセザンヌというった人たちです。ロマン主義は主観的・情熱的とはいえやはり基本的には写実的であり、目に見えるものに近い絵でした。それに対して印象派というのは「もう目に見えたように描かなくてもいいんじゃね?感じたように描けばいいんじゃね?」とロマン主義の主観的な要素をさらに延長したようなものでした。大胆な筆遣い、色使いなどが特徴です。

 ドビュッシーラヴェルといった作曲家がこれら印象派の画家たちから大きな影響を受けました。彼らはまるで楽譜の上に筆で絵を描くように音を並べ、古典主義、ロマン主義では不協和音とされていた音でさえ大胆に使うようになりました。全体の調和よりも瞬間的な美しさが強調されました。

 このころ、すでにキリスト教の影響力はかつてほどの勢いを保ってはいませんでした。

 

第一次世界大戦、すべてが変わる

 1914年、世界が変わります。第一次世界大戦です。この戦争は特別でした。世界のほとんどの国がかかわった初めての戦争であり、被害者の数はけた違いです。これによってキリスト教の影響は地に落ちました。キリスト教国がキリスト教国を攻撃し信者が信者を殺しました。とうぜん協会はその背後にいたためその信頼は地に落ち、以降社会への影響力は極めて弱くなりました。

 しかしキリスト教の影響がなくなったということは、人民に正しさを示す基準がなくなったということであり、希望のよりどころを失ったということでもあります。

 ピカソゲルニカを見ればそれが美術にどれほどの影響を与えたかが良くわかるでしょう。何が正しい美術なのか、その基準は失われ完全に自由な表現が許されるようになりました。美術は「美しさ」を表現するものでもなくなりました。怒り、悲しみ、無秩序、混沌を特徴とした現代美術の始まりです。ダリをはじめとするシュールレアリスムの台頭もこれに含まれます。もはや存在しないものをまるで存在しているかのように描き、見るものに不可思議で混沌とした感情をいだかせるこの美術の潮流はまさにそのときすでに人々の中には共通した「基準」「希望」が失われていることの表れです。

 音楽の世界もそれは顕著です。第一次大戦直後、十二音階技法というものが考えだされます。「調性」というそれまでの音楽の基本中の基本だったルールを捨て、すべての音を平等に扱うことでそれまでのあらゆる常識をくつがえすというものでした。音楽もすでに「美しさ」を追求するものではなくなったのです。極めつけはジョン・ケージでしょう。彼の「4'30」はあまりにも有名です。4分30秒全く無音(!)という音楽(?)です。それ以外にも控えめに言って雑音とさして変わらない音楽が量産されていたのもこの時代です。あらゆるルールを取っ払った結果、「音楽とは何なのか」という問題の中でぐるぐる回っている、それが現代音楽です。

 

現代における芸術の商業化

 現代音楽、現代美術はもはや専門家の間でもてはやされるものであり、社会への影響力はほぼ失っています。しかし現代ではインターネットの発達に伴い、これまでかつてなく音楽・美術が大衆のものとなっています。商業音楽の歴史はこう言った音楽史とは切り離すべきだとする方も多いですが、結局のところ歴史に残るのは世界への影響が大きかったものであり、音楽で言えばロック、ポップス、ヒップホップ、テクノ、絵画で言えば漫画、アニメなどはまさしく現代における芸術の本流と言えるでしょう。これを無視することは出来ません。

 

いかがでしたか?こう考えてみるとすごく深い関係があるんですねー!